主に物語の基本部分に関わる設定です。まだ本編を最後まで読まれていない方は多少設定的なネタベレがあるかもしれません。 |
クリュース王国 初代王アルスロッツが当時迫害されていた魔法使いと手を結び建国。 約百年前のアルディア2世の時、隣国ファサンとの戦いに勝利し一気に南の穀倉地帯を手に入れて国が裕福になり北の大国と呼ばれるようになる。だがその戦争における最後の戦い直前に兵士の反乱が起こり、それを収める為に王は兵達の要求を飲まざるえなかった。そうして戦争終結後、それらの要求を満たす為の政策の一つとして冒険者制度が始まった。 近隣の国から冒険者になる事を夢みた人々からは『自由の国』と呼ばれ、制度が上手く動くようになって以後、他国からの移住希望者が後を絶たない。また唯一魔法が許されている国という事で、周辺諸国に比べ文化レベルはけた違いに高い。冒険者という潜在戦力と魔法、そしてその裕福さの所為で、真正面から戦いを仕掛けてくる国は無くなり、近年では他国との大きな戦はない。ただし、国境周辺での小部族との小競合いや海岸周辺を襲撃されたり等は度々ある。 国の東と北は山岳地帯と荒地。西は海岸、南は平野(森と田園が主、時折あまり高くない山脈や砂漠や荒地もある)が続いたあとに大樹海がある。首都はセニエティ。 冒険者制度 基本的には国に冒険者として登録すると、その能力や実績に合わせて仕事を斡旋してもらえるという制度である。また、医療や通信手段等、各種の便利なサービスを受けられる為、仕事目的ではなくそのサービスを受ける為に登録する者も多い。登録すると支給される冒険者支援石は、本人の魔法波長と合わせられて作られているため偽装も出来ず身分証明書としても使える。 冒険者として受けられる仕事は、戦闘関係からただのおつかいやら店の手伝いやらまで様々。仕事をこなすと内部評価ポイント(厳密には何項目かあるが大きいのは能力と信用ポイント)と報酬が貰える。報酬は依頼者が出し、一部は国に取られるものの、少額でも困難な仕事の場合はポイントを多めに振ってバランスを取ってくれる為依頼者側にも有難い制度である。 評価ポイントが一定数を越えると上級冒険者となり、仕事を貰いに行くのではなく仕事を依頼される立場になる。 冒険者と法 基本的には弱者を守るようにはなっている。ただ逆を言えば、強い者は法では守らないという事でもある。戦闘能力があると登録されている冒険者は、たとえ冒険者同士の諍いの末殺しても罪にならない。また性犯罪に対しても、女性が被害者なら重罪だが、被害者が男の場合は暴力扱いでたいした罪にはならない。 ただし、それとは別に貴族法というものがあって、相手が貴族であれば彼らに害をなした者は無条件で罰せられる。 各町には領主が雇った警備隊が配置されていて、(弱い者に対しての)暴力や、窃盗、詐欺、器物破損や街固有のルール等を厳しく(街によって厳しさにはかなり差があるが)取り締まっている。冒険者特有の罪である契約違反は罰金やポイント没収程度で済んで投獄される事はほぼないものの、評価欄に書かれる為信用度がガタ落ちして以後仕事が貰えなくなって冒険者を辞めざる得なくなったりする。 また、無罪で捕まった場合、リパ神官による『告白』の術を使う事で無罪を証明する事が出来る。 冒険者事務局 冒険者用の支援を行う国営機関。 冒険者の登録、仕事後の評価を貰う等、冒険者同士の伝言の受け渡し、資金相談、各種のサービス窓口となっている。国内で少し大きめの町、基本領主のいる町には支局がある。ちなみに冒険者登録は各町の支局でも仮登録までは出来るものの首都の本局にいかないと正式登録とはならない。 紹介所は仕事を紹介してもらえるところ。首都の本局は別の建物となっているが、首都以外は事務局の中に紹介所もある事が多い。事務局の周辺は冒険者向けの露店街が出来上がっている。 評価を貰った後の仕事での取得品は事務局内でも一括で買い取ってくれるが、当然、商人に直接持って行く方が高く売れる。ただ商人に売る場合はそれぞれを買い取ってくれる商人に個別に交渉しなくてはならない為、種類が多いとかなり面倒な事になる。 神官 それぞれの神をまつる神殿に属する。彼らの使える魔法はその神殿の神によりけり。 神殿に属する学校を出れば神官になれる。基本神官になるための学校では学費は無料のため勉強をするためにクリュースに来る者も多い。卒業後は正神官になって神殿の仕事をするか、準神官になって冒険者になる。そういうことで冒険者の神官は厳密には準神官なのだが、冒険者や一般人は区別せずにただ神官と呼んでいる。 神官の魔法は長年積み重ねられ確立されたものなので完成、安定し、術者の魔力等に左右されず目的の効果を出せる。 騎士 騎士試験に合格したものがなれる。 但し、貴族出身でないものの場合は、試験を受けるのに様々な前提条件を満たす必要がある。その中でも一番の難関は騎士に一定期間従士して試験の許可証を貰わねばならない事で、コネや金のない庶民出の冒険者ではこれが難しい。また、条件内に一定の財力や装備を示すというモノもあるが、これは合格後3年程正規騎士団に所属する事で免除される。 正規騎士団に所属すると冒険者として仕事をするのはかなり制限される。そうでない場合、平時は仕事や義務が殆どないので、冒険者としての格を上げるために騎士になる者も多い。ただし、何かあった場合は、騎士団の召集に応えて戦いに参加する義務がある。 ちなみに、従者を従えたり、自分の紋章を持っているのは貴族の騎士だけ。貴族出身の騎士は『本物の騎士』という言い方をする事もある。騎士団で役職を貰えるのは基本的には貴族騎士のみ。 警備隊と騎士団 警備隊はその街や領地単位で組織された治安維持の為の機関。雇い主は領主や街の商人ギルド等で、首都のみ国王となっている。それなりに腕の良さそうな冒険者を雇っている事が多い。冒険者同士の諍いには基本的に手を出さないが、喧嘩などで周囲に被害を与える場合は止めたり捕まえたりもする。警備隊員で手に負えなかったり逃げた者は冒険者に依頼する事もあるし、魔法使いが関与していれば魔法ギルドの協力が得られる。 騎士団は国の機関なので一般的な犯罪取締り等はせず、大規模な暴動鎮圧や、対国外戦闘が仕事。平時は国境付近や砦での警備、国王の直命による仕事等。 騎士団本部は首都の城内にある。首都の団員は殆どが騎士資格持ちだが、地方の支部や砦は騎士資格を持たない正規団員扱いでない者の方が多い。首都の騎士団は大きく分けて城の警備をする守備隊と雑用役の予備隊がある。 (ちなみに警備隊と騎士団はいわゆる警察と自衛隊の違いみたいなイメージに近いです) 魔法使い ひたすら魔法の道を研究する人達。魔法は常に研究している物なので魔法使いの魔法はある意味すべて未完成。 その為、一見同じ魔法に見えても術者により(術者の体調によっても)効果が変わるので、全く同じ効果の魔法はありえない。 生まれつき魔力のある子供が見出されて魔法使いに弟子入りする。但し、魔法使いといえるところまでいける人間は少なく、大抵は魔法使い見習い止まり。魔法使いを断念し、知識を生かして医者や役人になるものも多い。 杖は自分が完成させた呪文を封じ込めておくもの。杖に仕込んだ呪文は、それを引き出すためのキーワードを言うだけで使う事ができる。杖がない場合は、長い詠唱と魔法陣作成を1から全部やらねばならない。正式に魔法使いになると魔法ギルドに所属し、様々な彼らだけに伝えられる世界の秘密を知る事になるらしい。 傭兵団・私設騎士団 冒険者が集まって作った組織。1〜数名の上級冒険者を軸に、冒険者達を集めて組織として仕事を請け負っている。冒険者同士の諍いでは殺人も罪にならないという法律の為、金やある程度の地位を手に入れて名声があがった者は恨みや妬みで狙われる事が多くなる。その為身を守る手段として仲間を集めて互いに身を守った、というのが始まり。現在、上にたつ上級冒険者にとっては身を守る為、所属する下位冒険者にとっては組織の名声や信用で仕事を貰える為互いにメリットがある。また仕事を依頼する側も個人に頼むより失敗やメンツのフォローが組織持ちの為リスクが低い。 大規模なものは権力者とつながりを持ち、力を持っている事が多い。また一定以上の規模の傭兵団は、首都セニエティ内では指定の地区(西の下区内)にしか拠点を構えてはいけない決まりがある。 魔法使いの系列 魔法使いが使う魔法には空間系、暗示系、振動系、幻術系、植物系、召喚系……などその力は系列分けされている。どれが使えるかは本人の適正によるので、魔法使いの才能を見出されて魔法使いに弟子入りした後、適正が違っていたため別の魔法使いの弟子になる、という事はよくある。空間系は主に異空間を使った転送や結界、もしくは倉庫のほうな小さな異空間つくったりする能力。暗示系は精神に働きかけて暗示を掛け、操ったり、記憶を操作したり、自白をさせたり等が出来る能力。振動系は空気の振動を操って音を操作したり、振動を伝えてモノを破壊したりすることや、温度を扱う事が出来る者もいる。風を操る魔法使いも振動系に入る。幻術系は実体のない映像を作りだす能力。植物系は植物の成長や細胞自身を操作して新しい植物を作ったり、それで義肢を作る事も出来(擬体)るため、薬草の知識も合わせて治療師として医者のような事をしている者が多い。召喚系は異世界や遠い場所の動物(化け物)を召喚する事が出来る能力だが、召喚対象一つに付き必ず魔法陣が必要になるため、杖に魔法陣や呪文を仕込んでおいて即その場で使う、という使い方は出来ない。 その他にもマイナーな系列はあるものの、魔法使いは魔法系列ごとによって繋がっている。なにせ同じ系列魔法だと師匠の師匠……と辿っていくと同じ人物になるため。 ちなみに大抵の者は複数の適正を持っているが(適正の高さは別として)、1系統に絞って研究することが普通である。 |